アン・チファンのコンサートに行った。元々、私はジャン・ピルスンという女性歌手のコンサートを見に行ったのだが、席が売り切れでそのため急遽近くでやっていたアン・チファンのコンサートに行ったという次第である。しかしこれが結果的に最高のコンサートだったから何が起こるか分からないものである。

 会場に行くと当日券の補助席待ちの長蛇の列。これは絶対に入れないぞと思うくらいに並んでいたが、どんどん中に入っていって座ることが出来た。舞台は高さはほとんどないが客席の真ん中にあって客が四方から見ている形になっていた。そして補助席は舞台のすぐそば。相撲で言うところの砂かぶりの席である。コンサートだから、ちょっと汚いが唾かぶりとでもいったところか。

 そんな中、少し遅れてコンサートは始まる。1曲目は「サラミ コッポダ アルムダウォ(人が花より美しい)」という曲。コンサートが進行していくにつれ思ったのだが、彼の曲はゆっくりしているし、歌詞も簡単な言葉を使ったものが多く日本人の私にも比較的分かりやすい。で、その簡単な言葉で表現する内容がいいのである。Love songが多く、1曲目の題名でわかるように日本だったらこのまま日本語では表現しないなと思えるような文句が多いが、そこをあえて表現するところがいい。

 私はこの1曲目ですでに満足してしまい、あとは「もう、こうくるか。」と思わずニヤニヤするほどに良かった。その後は順番は忘れましたが、まだコンサート会場にしか売っていないニューアルバムから「フィマギ イッタ(希望がある)」「オルマナ ト(あとどれだけ)」「サランハリョネ(うまく訳せません)」「クデヌン アルムダウン ヨイン(あなたは美しい女性)」「3・8ソヌン 3・8ソネマン インヌンゴスン アニダ(38度線は38度線にだけあるんじゃない)」や過去の4集から「ネガ マニル(僕がもし)」「スプルル ヘチミョ(茂みをかき分けて)」「タンダンハゲ(堂々と)」、3集から「ソグムイニョン(?人形)」「ジャユ(自由)」等、全部で20曲ほど歌った。

 前半では「ネガ マニル」を軽めのアレンジで歌ったり、そして「ソグムイニョン」で立った状態で踊るのに感動したり。そのほか「クデヌン アルムダウン ヨイン」は私気に入りました。後半ではアンコール前に「ジャユ」「スプルル ヘチミョ」「タンダンハゲ」の3曲のセットがよかった。私は「スプルル ヘチミョ」の曲の展開が好きでそれを聞きたかったので嬉しかった。アン・チファンの良さはやはり声のよさである。普通の声もいいし、激しく歌うときにしゃがれ声になるところもいい。そして顔がいい。全然かっこよくないのだが、人のよさそうなニコニコした顔でその顔で結構甘いLove songやメッセージ色のある歌を歌うから、そのギャップがまたよい。

 デビューが80年代の人で、過去の曲の題名などを見ていると元々は反体制的な曲が多かったんじゃないかと思われるが、今もその感じが少し残っており、それと他の曲がうまく合っている。詞を本人が半分くらい書き、残りは彼の好きな詩人のものを使ったりしているのもまたいい。あまりに自分の好みに合うので、コンサートが終わってからもかなり長い間ニンマリし続けてしまった。彼の曲はお勧めできます。

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